男性/大学4年/大学所在地:広島県
瀬野川病院といえば、なんといっても“精神科”のイメージです。その性質から、暗い・患者が暴れるのではないか、といった負の先入観がありました。しかし、それらは誤った認識であると、1日インターンシップを通して痛感しました。
続きを読むまず、病院全体が『明るい』のです。どのフロアを見ても、職員のみなさんが笑顔で仕事をしているのが印象に残りました。職種間でのあいさつも活発で、すれ違うたびに声をかけ合う日常を垣間見て、まさにあたたかい職場であると感じました。
また、実際の診察を見られたことは大変勉強になりました。津久江院長による外来患者への対応は、私が病院へかかった際の医師によるものと相違ありませんでした。患者もまた同様で「よくなりたい」と願い病院を訪れていることをその訴えの強さから感じ取りました。病院という場所です、当たり前のことなのですが、偏見のあった私にはそのことが驚きでなりませんでした。
病院のまわりを歩いているときのことです。先導をしてくれていた桑原先生のもとへ駆け寄ってくる女性患者がありました。「先生のおかげで楽になった」という旨をうれしそうに話すその姿を見て、薬学的なアプローチで患者を楽にしてあげられる、薬剤師の仕事とはなんと素晴らしいのだろうと胸を打たれました。月並みな表現ではありますが、感動したのです。その職能の真髄に触れた気がしました。
C4病棟での、入院患者との応対を間近で見られたことは幸運でした。外来患者と違い、入院している方々なので重症度はやや高めであろうと身構えて臨んだのですが、思いのほか外来の方との違いを感じませんでした。他愛もない世間話で顔をほころばせる患者、その笑顔は私たちのそれと何ら変わりないものでした。外来・入院患者の両方を見られたことで、当初抱いていた思い込みは解けていきました。
PubMedや医中誌を用いた文献検索の講義は、医療現場におけるEBMの実践を肌で感じられた、私にとって大変に有意義な時間でした。薬剤を変更する際の代替案の提示は、薬剤師として必要な業務であるとは知っていましたが、実際に行うとなると難しい、単に教科書に沿った同効薬の羅列を行えばよいというものではないと知りました。いかに患者本位になれるか、講義を行ってくださった阪岡先生の言葉が身に沁みます。これまで座学で学んできたことを、いかに現実・現場に落とし込めるか、応用・創造する能力が必要であると痛切しました。
1日インターンシップを通して、私の“精神科”のイメージはがらりと変わりました。それまで持っていた後ろ向きの印象はなくなり、精神科はやりがいがあるなと、むしろ好意的な印象を持つようになりました。難しいからこそ面白い、瀬野川病院薬剤課の魅力を遺憾なく感じることのできた1日でした。